由井研究室(精密加工学研究室)所属
幼い頃から、おもちゃや機械をいじることが好きで、買ってもらったおもちゃなどをドライバーなどで分解するような子どもでした。ただ、直すことはできないので結果として壊しただけでしたが……。小学校では機械いじりの趣味にパソコンが加わり、インターネットゲームやネットサーフィンをすることが多かったです。高校生では自作パソコンなどにも挑戦をしました。
高校の進路選択では、数学は得意ではありませんでしたが機械が好きなので理系を選択。大学は「機械系」の学部を選ぼうと思いました。
神奈川大学は、文系理系の学部が揃う総合大学で規模が大きく、僕が思い描いていた「大学のキャンパス」のイメージにピッタリの大学です。機械工学科は、実習系の授業が豊富なところが最大のポイントです。1年生前期では機械工作実習という授業があり「溶接」や「旋盤」等を用いた実習をします。後期の機械解剖では「エンジンの分解」などがありました。理系の大学であってもなかなか経験のできないことを経験できたと思っています。
由井研究室では、「海中ソーラ発電システム」について研究をしています。由井研究室は私が1年生のときにできた新しい研究室で、あまり知られていませんでしたが、3年時の研究室見学で研究内容に触れ、「これは革命的な研究だ!」とすごく興味を持ちました。
今、世界中で脱炭素が課題になっています。日本でも2050年までにカーボンニュートラルを目指し、再生可能エネルギーの研究が進んでいます。中でも世界6位の排他的経済水域を有する日本において、「海中ソーラ発電システム」はこれまでのエネルギー政策を根底から変える可能性があるのです。
ソーラ発電は地上でも行われていますが、一般に使用されているシリコン系ソーラパネルは高温になると発電効率が下がるという特徴があります。しかし、海中ソーラ発電システムは、海面より数センチの深さに沈め、海水で表面を冷やしながら発電できるため発電効率が落ちないのがメリットです。ただ、フジツボが付着するなどによってソーラパネルが汚れると発電効率が下がるので、パネルの表面に数10マイクロメートルの細かい凹凸をつけてフジツボが付着しにくくなる加工をしています。このときに、1、2年次で習った機械加工の授業が役立っています。
海中ソーラ発電システムで発電した電気を利用するためには送電線や大容量の蓄電池が必要となり、コスト面が課題になります。また、日本は地震や台風などの自然災害が多いので、海中ソーラシステムが流されて火災の原因になる可能性があるなど、実用化のためにはクリアしなければならない課題がたくさんあります。これらの課題をクリアすることは容易ではありませんが、夢のある研究に携わることができ、とても充実しています。
研究室では、普段は実験やデータ整理、新たな研究方法の考案などをしています。由井研究室は、ほかの研究室と比べても実験の多い研究室だと思います。室内で行う実験や大学の屋上、学外でも実験を行うことがありました。実験が好きな私にとっては、とても面白い研究室ですね。
研究って一人で黙々と進めていくものというイメージがありましたが、和気あいあいとみんなで話し合うことも多いです。1人では行き詰まることもありますが、仲間や先生に相談すると、新鮮な視点を与えてくれてとても勉強になります。由井先生は学生との距離が近く、夜遅くでもいつでも相談に乗ってくださり、とてもありがたいです。
研究室では、実験や研究のスキルも上がりましたが、発表の仕方、論文のまとめ方も細かく先生から指導していただき、成長できたと思います。また、コロナ禍も経験して、どんなことにも対応できる力も身につきました。これらの力は、社会に出ても役立つと思います。
来年は、修士課程に進み今の研究を継続することが決まっています。就職するかどうかとても悩みましたが、由井先生に相談し、就職してから修士課程に戻ることは難しいと助言をいただいて、大学院に進み、先生のもとで学ぶことを決めました。
直近の目標としては、今行っている研究分野を少しでも進め、成果を上げたいと考えています。修士課程修了後は自分の研究分野に少しでも近い分野に就職したいという希望があり、そのためにも、研究に励みつつ、自分の適正や自身に向いている仕事を模索していきたいです。